【車いす利用想定】バリアフリーリフォームのすすめ【トイレ】

【車いす利用想定】バリアフリーリフォームのすすめ【トイレ】 お家の悩み

バリアフリーリフォームは介助を受ける方も、介助をする方も居心地の良く住みやすい家にすることが目標となります。

身体状況はご利用者様によって様々ですが、例えば「車いすを利用している方」の住まいのバリアフリーリフォームはどんなポイントがあるのでしょうか。

バリアフリーリフォームでは、視線の位置、手の届く高さ、車いすの幅や転回のスペース、膝や足が当たらないスペースづくり、段差の解消などを隅々までチェックします。

特に「玄関」「トイレ」「洗面所・浴室」に手を入れると暮らしやすくなります。いずれも、複雑な行動や動作が伴い、日常生活で欠かせない場所です。

今回はその中の「トイレ」のバリアフリー化をするときのポイントをご紹介します。

 

高齢者向けのバリアフリーリフォームについては下記のリンクをご覧ください。

 

車いす利用の方で他の場所のバリアフリーリフォームが気になる方は下記リンクをご覧ください。

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バリアフリー・介護リフォームの専門家集団が
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「トイレ」のバリアフリーリフォーム

一日の中で何度も利用するトイレは、一般的な住宅では狭いうえに動作が多いため、重要になるポイントです。

トイレを設置する位置や、空間の広さ、動作補助の道具、換気など狭い空間ですが、気を付けたい内容はたくさんあります。

基本的には身体状況に合わせて、「移動や立ち座りの動作に不安がないか」「座っている姿勢を保持できるか」「手の動作に不安がないか」などの状況を鑑みながら改修計画を立てていってください。

それでは、安全で快適に過ごすために必要なポイントを紹介します。


参考:各自治体から発表が出ている「福祉のまちづくり条例」など

福祉のまちづくり条例(横浜市)

川崎市福祉のまちづくり条例(川崎市)

寝室とトイレを近づける

トイレの住環境整備ではまず、トイレまでの動線の整備をします。

夜間にトイレに行く際に、暗がりを進んでぶつかったり、車いすの車輪で何かひっかけてしまったりすることがないよう、まずは寝室からトイレまでの動線を確認します。

自立して排泄できるなら、寝室とトイレの距離をできるだけ近づけて配置するのがおすすめです。

身体状況に左右されますが、手すりに寄りかかって移動できる場合などは、寝室にトイレを新設してベッドのすぐそばにトイレを置いたことで、自力でトイレに行って排泄できるようになった方もいらっしゃいます。

最近の設備では、トイレが居室(寝室)に接していても臭いが気にならないほど換気設備が充実しているものもあるため、寝室をトイレの近くの部屋にする、あるいは寝室にトイレを作ってしまう、という選択肢が取りやすくなりました。

寝室の押入れをトイレにした施工事例

居住スペースの押し入れをトイレに改修した写真。広さも十分取れています。

画像は元は押し入れだった場所にトイレを新設した事例です。

ベッドの近くにトイレを新設することで、自力での移動を楽にし、介助の負担を減らすことができました。


施工事例


施工事例:神奈川県相模原市O様邸:押し入れ→トイレ

車いすが転回できるスペースを確保する

車いす使用 トイレ 必要スペース

(https://www.catalabo.org/catalog/detail/73835100000)TOTO株式会社 バリアフリーブック パブリックトイレ編 より抜粋

車いす使用 トイレ 方向転換 転回 

(https://www.catalabo.org/catalog/detail/73835100000)TOTO株式会社 バリアフリーブック パブリックトイレ編 より抜粋

車いす利用想定の場合、車いすでトイレに入っていけるようある程度の広さが必要になります。

通路幅や空間の広さの目安は以下の通りです。トイレに行くまでの道筋は、車いすで通過できる程度の通路幅が、トイレの個室内に出入りするには、少なくとも車いすが転回出来るスペースが必要となります。

【参考】車いすを使用する場合の通路幅の目安(国土交通省 基本寸法より抜粋)

寸法 意味
80cm 車いすで通過できる寸法
90cm 車いすで通過しやすい寸法
通路を車いすで通行できる寸法
120cm 通路を車椅子で通行しやすい寸法
人が横向きになれば車椅子使用者とすれ違える寸法
杖使用者が円滑に通過できる寸法
140cm 車椅子使用者が転回(180度方向転換)できる寸法
杖使用者が円滑に上下できる階段幅の寸法
150cm 車椅子使用者が回転できる寸法
人と車椅子使用者がすれ違える寸法
180cm 車椅子使用者が回転しやすい寸法
車椅子使用者同士がすれ違える寸法

 

車いすを使用する際の通路幅目安 90cm:車椅子で通過しやすい寸法 通路を車椅子で通行できる寸法 120cm:通路を車椅子で通行しやすい寸法 人が横向きになれば車椅子使用者とすれ違える寸法 杖使用者が円滑に通過できる寸法 車いすを使用する際の通路幅目安 150cm:人と車椅子使用者がすれ違える寸法 180cm:車椅子使用者が回転しやすい寸法 車椅子使用者同士がすれ違える寸法 車いすを使用する際の通路幅目安 140cm:車椅子使用者が転回(180度方向転換)できる寸法 杖使用者が円滑に上下できる階段幅の寸法 150cm:車椅子使用者が回転できる寸法

車いす使用者が便器に移乗する方法は身体状況によって様々です。

トイレの出入りの行動の流れや、車いす⇄便器の移乗の方法によって車いすの移動の仕方が変わり、必要スペースも変わります。

リフォームをする前にどのようにして普段、車いす⇄便器に移乗しているかを確認しておきます。

トイレに入って便器に移乗する流れの代表的なアプローチ方法を紹介します。

車いす使用 便器へのアプローチ 正面アプローチ

(https://www.catalabo.org/catalog/detail/73835100000)TOTO株式会社 バリアフリーブック パブリックトイレ編 より抜粋

車いす使用 便器へのアプローチ 斜め前方アプローチ

(https://www.catalabo.org/catalog/detail/73835100000)TOTO株式会社 バリアフリーブック パブリックトイレ編 より抜粋

車いす使用 便器へのアプローチ 直角アプローチ

(https://www.catalabo.org/catalog/detail/73835100000)TOTO株式会社 バリアフリーブック パブリックトイレ編 より抜粋

車いす使用 便器へのアプローチ 側方アプローチ

(https://www.catalabo.org/catalog/detail/73835100000)TOTO株式会社 バリアフリーブック パブリックトイレ編 より抜粋

一般的な住宅のトイレはそこまで広く空間をとっていないことの方が多いため、車いす利用想定のバリアフリーリフォームをする際は以下の選択肢を取ることが多いです。

  • 既にあるトイレの壁を壊し広く空間をとる
  • 使用頻度の少ない部屋をトイレに改修する
既にあるトイレの壁を壊し広く空間をとった施工事例

神奈川県横浜市 S様邸:トイレ+脱衣室(車いす用洗面台)バリアフリー工事【施工事例】

施工後写真

画像は車いす利用のためトイレを広くしたいとのお客様のご希望で、元あったトイレの個室と隣接する脱衣室の壁を壊し、一つの部屋にすることで、広さを確保した施工事例です。

換気設備は十分に作動するほか、暖房設備も完備して、トイレ・お風呂などヒートショックの起きやすい場所のケアもしています。


施工事例

神奈川県横浜市 S様邸:トイレ+脱衣室(車いす用洗面台)バリアフリー工事
施工事例:神奈川県相模原市S様邸:トイレ+脱衣室

使用頻度の少ない部屋をトイレに改修した施工事例

トイレ全体、使わなくなった一室をトイレに改装することで介助スペースや車いすの移動の切り替えを容易にするスペースを確保しました:施工後写真

トイレ全体、使わなくなった一室をトイレに改装することで介助スペースや車いすの移動の切り替えを容易にするスペースを確保しました:施工後写真

画像は元は書斎だった場所にトイレを新設した事例です。

もともとあったトイレも家族用に残し、新たに車いす利用のまま使用しやすいトイレを新設しました。


施工事例

施工事例:神奈川県相模原市K様邸:トイレ+オストメイト

施工事例:神奈川県相模原市K様邸:トイレ+オストメイト

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トイレ内での動きに合わせて手すりをつける

〔自立〕車いす使用者のトイレの行動フロー


車いす使用者(自立)トイレの行動フロー

(https://www.catalabo.org/catalog/detail/73835100000)TOTO株式会社 バリアフリーブック パブリックトイレ編 より抜粋

〔要介護〕車いす使用者のトイレの行動フロー


車いす使用者(要介護)トイレの行動フロー

(https://www.catalabo.org/catalog/detail/73835100000)TOTO株式会社 バリアフリーブック パブリックトイレ編 より抜粋

上の画像は車いす使用の際のトイレ利用者の行動フローになります。

身体状況によって利用者の動きが異なるため、それぞれでどんな動きをするかをひとつひとつ確認しながら補助する道具を設置していきます。

設置する補助道具で代表的なものは手すりです。ここから先は、車いす使用想定の際のトイレの手すりの設置について説明していきます。

 

トイレに設置する手すりの用途は「移動や立ち座りの動作」「座っている姿勢の保持」がメインとなります。

便座を使用する際、車いす利用者は車いすから便座への移乗の動作が必要になります。身体状況によって、車いすのアプローチや移乗の方法は様々ですので、移乗の動作の際、どの角度から車いすを近づけ、どこに手をついて力を入れ、車いす⇄便座に移乗するかをよく確認しておきます。

立ち座りの動作を補助する手すり

立ち座りの動作をする時には、車いす⇄便器の動きで、脱衣をしたり、体勢を支えたり、体重移動をするためにその動きを補助する手すりがあると便利です。

手すりの位置は、壁側にL字手すり、手前側に跳ね上げ式手すり(可動式手すり)が一般的です。

特に手前側は、移乗する時や、便器横からの介助に邪魔にならないように、一旦避けることのできる「可動式の手すり」を手すりをおすすめしています。可動式手すりにロック機能がついているものを選ぶと、さらに使用時の安定性が増します。

人によって身体状況が違い動作が変わるため、必要なものは様々ですが、特に便器へのアプローチ方法によって、手をついて体を支えやすい場所があります。

代表的なアプローチ方法の中で手をつきやすい場所の目安は以下の画像の通りです。

(立位移乗)正面アプローチの場合


トイレ 車いす使用 正面アプローチ

(https://www.catalabo.org/catalog/detail/73835100000)TOTO株式会社 バリアフリーブック パブリックトイレ編 より抜粋

便器の正面に車いすをつけ、手すりを使って便器に移乗します。

(立位移乗)斜め前方アプローチ


トイレ 車いす使用 斜め前方アプローチ 手をつきやすい位置

(https://www.catalabo.org/catalog/detail/73835100000)TOTO株式会社 バリアフリーブック パブリックトイレ編 より抜粋

便器に対してななめ前方からアプローチして、手すりを使って立ち上がり、便器に移乗します。

(立位移乗)直角アプローチ


トイレ 車いす使用 直角アプローチ 手をつきやすい位置

(https://www.catalabo.org/catalog/detail/73835100000)TOTO株式会社 バリアフリーブック パブリックトイレ編 より抜粋

便器に対してほぼ直角にアプローチして、便器と車いすが接するように車いすをつけて、車いすや手すりを持って腰をスライドさせて、車いすから便器に移乗します。

壁側の手すりは前出の大きいものを選び、移乗するときに頭と壁が接触しないように手すりと壁とのスペースを確保します。

(立位移乗)側方アプローチの場合


トイレ 車いす使用 側方アプローチ 手をつきやすい位置

(https://www.catalabo.org/catalog/detail/73835100000)TOTO株式会社 バリアフリーブック パブリックトイレ編 より抜粋

便器の側方に便器と車いすが接するように車いすをつけ、車いすや手すり、便座に手をついて、腰をスライドさせて、車いすから便座に移乗します。

介助者がいる場合の一例


トイレ 車いす使用 要介助でのアプローチ

(https://www.catalabo.org/catalog/detail/73835100000)TOTO株式会社 バリアフリーブック パブリックトイレ編 より抜粋

トイレ 車いす使用 要介助でのアプローチ 手をつきやすい位置

(https://www.catalabo.org/catalog/detail/73835100000)TOTO株式会社 バリアフリーブック パブリックトイレ編 より抜粋

車いすを便器の前方や側方につけます。非介助者に手すりを支えにして一時的に立ってもらい、介助者が非介助者を脱衣させます。その後、介助者が非介助者を正面から抱きかかえ、便器に移乗させます。

介助者のためのスペースが必要なため、手前側の手すりは可動式のものが便利です。

座っている姿勢を保持する

トイレ 座位保持の時の補助道具

(https://www.catalabo.org/catalog/detail/73835100000)TOTO株式会社 バリアフリーブック パブリックトイレ編 より抜粋

トイレ用遮断式手すり。座っている姿勢を保持する

バリアフリーリフォームのマニュアル2021(https://saas.actibookone.com/content/detail?param=eyJjb250ZW50TnVtIjoiMjYzOSJ9&detailFlg=0&pNo=1) マツ六株式会社より引用

座っている姿勢を保つための補助をする手すりor設備です。前方に倒れ込むことを防ぐために、遮断式の手すりをつけることもあります。

TOTO 背もたれ【EWC285CS】

背もたれ(ハードタイプ)
【TOTO EWC285CS】

背もたれがあると、座位のバランスが安定して、長時間楽な姿勢で座れます。

  • 着席時に頭を後ろ壁にぶつけるなどの危険を防ぐことができます
  • 介助者が後ろから支える負荷が軽減され、排泄介助が楽になります。
【番外】介助を楽にする介護リフトの施工事例

トイレの立ち座りの介助を楽にする介護リフトを設置しました。

グループホームのトイレに介護リフトを設置しました。

非介助者を移乗させる際に、介助者が非介助者を持ち上げるシーンがあります、この動作を楽にするために設置を決めました。

機械の力を借りることによって女性の力でも介助しやすくなりました。


施工事例

施工事例:神奈川県横浜市グループホームE:バリアフリー、浴室、トイレ、天井走行リフト、介護リフト、等
施工事例:神奈川県横浜市グループホームグループホームE 介護リフト設置事例

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トイレそのものを便利にする

トイレ内での動作を少なくすることや、トイレそのものを便利にするのも、一種のバリアフリーになります。トイレの機能自体がかなり豊富になってきているので、身体状況からくるニーズに合わせて必要なものをピックアップします。

ウォシュレットトイレを選ぶ、トイレのふたの開閉に人感センサーがついている、便器の高さを調整する、便器の形状(車椅子がなるべく近くに近づける形や介助しやすい形、掃除しやすい形)を選ぶ、紙巻器の位置を調整する、掃除口付トイレを採用する、など様々できることがあるので、一つずつ説明していきます。

あると嬉しい機能を選ぶ

  • ウォシュレット機能
  • トイレのフタの人感センサー
  • 洗浄ボタン、洗浄リモコン など
ウォシュレット機能を選ぶ
ウォシュレット機能付トイレ

画像 TOTO ウォシュレット®️アプリコット(https://jp.toto.com/products/toilet/apricot/)

身体状況により、お尻が自分でふけない方には「ウォシュレット」の設置(乾燥機能付きが望ましい)をおすすめします。

トイレのフタの自動開閉(人感センサー)や、フタなしを選ぶ
トイレのフタ 自動開閉 人感センサー

画像 TOTO ネオレスト(https://jp.toto.com/products/toilet/neorest/)

フタのないトイレ

(https://www.catalabo.org/catalog/detail/73835100000)TOTO株式会社 バリアフリーブック パブリックトイレ編 より抜粋

トイレのフタの人感センサー付のものは、フタの開閉に伴う動作(体をかがめてフタを開けたり閉めたりする)の負担の軽減が見込めます。また、手で触れないので衛生的というメリットがあります。

ただし、デメリットもあり、トイレ掃除の時に勝手にフタが閉まってしまう、故障した時の修理費用がかかる、などの声も聞かれます。

身体状況と合わせて、必要か必要でないかの判断が分かれる機能です。

また、トイレのフタがないタイプも選択肢に上がります。

フタがないと、車いすの移乗の時に邪魔になりにくいためです。また、トイレに背もたれを設置したい場合もフタがあると邪魔になるケースがあります。

洗浄ボタンを設置する

TOTO リモコンの便器洗浄ユニットHE38
TOTO住宅&パブリックカタログ 2024より抜粋(https://www.catalabo.org/catalog/detail/79130910000)

洗浄ボタン(ウォシュレット)

TOTO リモコンTCM1248-1

洗浄ボタンは、よく見るレバー式のものと比べ、手の力が強くなくても利用できます。

また、レバー式のものは、タンクの方に振り向く動作をしてトイレの洗浄するのに対し、洗浄ボタンがあると座ったままトイレの洗浄が可能になるため、動作の軽減も期待できます。

便器の形状を選ぶ

車いす使用想定の場合は、便器の形も重要です。ひとつひとつ解説します。

  • 便器の高さを調整する
  • 車いすが近づきやすい便器の形
  • 介助しやすい便器の形
  • 掃除しやすい形
便器の高さを調整する
座面の高い車いす対応便器

TOTO 車いす対応便器C480AN 画像はTOTO住宅&パブリックカタログ 2024(https://www.catalabo.org/catalog/detail/81298310000)より抜粋

トイレ 車いす使用 側方アプローチ 手をつきやすい位置

(https://www.catalabo.org/catalog/detail/73835100000)TOTO株式会社 バリアフリーブック パブリックトイレ編 より抜粋

車いす使用者向けに、通常の座面高さ420mmより30mmほど高い、450mmの便器が販売されています。これは車いすの座面の平均的な高さに合わせた便器になります。

車いすから便器に腰をスライドして移乗する場合、車いすと便器の高さがなるべく同じ方が移乗しやすいです。

座面が高くなる分、体格によっては足が床につかなくなる場合があるため、採用には十分な確認が必要です。公共性の高いトイレには通常の便器が適しています。

車いすが近づきやすい便器の形

足元の空間に余裕のある壁掛式便器

壁掛式便器などの、便器の足元あたりの空間に、なるべく余裕があるデザインのものを選ぶと、車いすのフットレストが当たらず、移動や方向転換をする際に邪魔になりにくくなります。

介助しやすい便器の形

足元の空間に余裕のある壁掛式便器

介助しやすさでも壁掛式便器は優れています。便器下に空間があることで、介助者のつま先が便器下に入るので、体をグッと近づけることができて力が入りやすく、介助が楽になります。

タンクの低いトイレ

TOTO バリアフリーブック病院・高齢者住宅・高齢者施設編より抜粋(https://www.catalabo.org/catalog/detail/73876910000)

タンクが低いと介助者の身体が後ろに入り込めるので、腰を入れた介助姿勢がとれ、立ち座り時にしっかりと体を支えることができます。

掃除しやすい形
掃除がしやすい便器や便座の機能

画像はTOTO ピュアレストEXアプリコット より抜粋

清潔を保つために、トイレメーカー各社は掃除のしやすさに重点を置いた商品を出しています。

また、便器詰まりの心配がある場合、「掃除口付」の便器を採用するとメンテナンスが楽になります。

オストメイト

使用者の身体状況によっては、オストメイトを導入します。

車いす用トイレとオストメイト設置の施工事例
トイレ+オストメイト:施工後写真3

トイレ+オストメイト:施工後写真3

車いすを使用して生活するお客様の施工事例です。

使用頻度の少なくなった部屋をトイレに改装して車いすでも快適に使える広い空間を確保し、個室内に、トイレとオストメイト、車いす用洗面台を設置しました。


施工事例

施工事例:神奈川県横浜市グループホームE:バリアフリー、浴室、トイレ、天井走行リフト、介護リフト、等
施工事例:神奈川県相模原市K様邸 オストメイト設置事例

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トイレのドアは引き戸が使いやすい

開き戸は開け閉めする時に体の前後移動が大きくなるので、トイレの出入り口になるドアは片手で少しの力で開閉できるようなスライド式のドア(引き戸)を選びます。

この時、車いすが問題なく通れる幅を確保できることを確認します。引き戸は車いすで通れる間口(出入り口の幅)と、その開口寸法に見合う扉を引き込むスペースが必要なためです。

引き戸は、2枚引き戸、3枚引き戸タイプのものがあるほか、引き戸と開き戸のいいとこどりをしたタイプなどがあります。

また、万が一のことを考えて、外からでも鍵が開けられるようにしておくと、トイレに閉じ込められてしまった場合にも家族が救出できるようになります。

引き戸と開き戸のいいとこどりをしたタイプ 参考(DAIKEN リフォームマガジンより引用)


助成金・補助金でトイレドアのリフォーム 出入りがラクラクな“OMOIYARIひきドアW”とは?|DAIKEN REFORM MAGAZINE
2025/01/20 高齢化社会の現代、介護される側・する側双方にとって、特に重要になるのがトイレのバリアフリー化です。引いて開く、画期的な「ひきドア」にドアリフォームすることで、省スペースかつ車椅子でも利用しやすいトイレが実現できます。

清掃がしやすく車いすの使用に耐える床材を選ぶ

トイレ床材

便器などに比べると、注目度が低くなりがちな床ですが、バリアフリーを考える時にはかなり重要な要素となります。

車いすを利用する時に真っ先に気になる段差はもちろん、高齢者や障害者の怪我の要因になりやすい転倒をした場合、便器や壁、床に体をぶつけやするリスクも高くある場所です。また、汚れやすい場所でもあるので、清潔さも重要になります。

車いすを使用するトイレの床材で特に気をつけておきたい要素は、「滑りにくい」「耐久性」「清掃しやすい」になります。

滑りにくさを重視する

バリアフリーリフォームをする、と考えたときに床材に必須なのが「滑りにくい」ということ。

令和2年度に改訂された高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」には、「床の滑り」に関する評価指標、評価方法が記載されています。※該当する項目は「建築設計標準(令和2年度改正版) 第2部 高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準 第3章 基本寸法等 3.9 床の滑り (ページ番号  2-301)

建築:建築物におけるバリアフリーについて - 国土交通省
国土交通省のウェブサイトです。政策、報道発表資料、統計情報、各種申請手続きに関する情報などを掲載しています。

車いすの場合、滑りのいい床材の方が車輪がスムーズに動きそうですが、実際は滑りやすい床材だと、スピードの調整や方向転換がしにくく、走行が安定しません。トイレの便器⇄車いすの移乗をする時も、足元が滑りやすく、転倒のリスクが上がります。

操作性を考えると、段差がない(凹凸のない)もので、かつ、滑りにくいものが適しています。

耐久性を重視する

耐久性の高い床

TOLI 消臭NSトワレNWから抜粋(https://www.toli.co.jp/digital_catalog/ns_okunai3/index.html#page4)

トイレの床材の候補に上がりやすいものに「CF(クッションフロア)」「長尺シート」「タイル」「フローリング」などがあります。

どれも水、尿の成分であるアンモニア、洗浄する洗剤に強い耐性を持つ床材です。(フローリングの材料は木材で、水や尿や薬剤には強くありませんが、塗装などの加工技術によりトイレに使用できるタイプがあります)

トイレは転倒の危険も大きい場所のため、基本的にはクッション性が少しでも高く転倒した時の衝撃を和らげるもの(CF(クッションフロア)など)を選びたいところですが、車いすの重量に耐えるものでないと、床にへこみやタイヤの傷が残ってしまいます。

結果的に、車いすを使用前提の場合には、強度の高い「塩ビタイル」や「長尺シート」を選ぶことが多い印象です。

どちらも耐久性が高い結果、硬いという一面も持つので、一長一短です。状況に合わせて選んでいきましょう。

清掃しやすさを重視する

防汚性に優れた床

TOLI 消臭NSトワレNWから抜粋(https://www.toli.co.jp/digital_catalog/ns_okunai3/index.html#page4)

トイレの床は、水や尿がかかりやすいため、他の部屋の床よりも汚れや臭いが気になったり、剥がれたり、湿気の影響でカビなどの問題が多く発生しやすい場所です。そのため清掃のしやすさは特に重要になっていきます。

清掃のしやすさを考える時に具体的にチェックしたいのは以下の通りです。

  • 水、尿の成分であるアンモニア、掃除用洗剤に強い
  • 凹凸や溝、継ぎ目がなく清掃しやすい
  • 臭いに強い
  • 掃除や手入れのしやすい素材
  • 床だけの交換はしにくいので、ある程度の耐用年数が必要(便器の交換目安が10年ほどなので、リフォーム時期と合わせて考える)

床材の交換時期についても考えておきましょう。丁寧に清掃をして手入れをして保っていても、使っていけば劣化もするので、張り替えのタイミングは10年程度とされています。便器を新しくする際に床も張り替える選択をする方もいらっしゃいます。

また、トイレの床をリフォームをする場合、元あった床材の上から新しい床材を貼る「上貼り」という方法があります。

手軽なのでその方法を取る方もいらっしゃいますが、車いす使用想定であるなら、ドアの入り口の境界に床材の厚み分の段差ができてしまうので、避けた方が無難です。

人感センサー付きの照明

トイレの照明を人感センサー付きにすることで、手を伸ばす、スイッチを押すといった操作の負担を省略できます。

また夜間の転倒防止を防止につながるのも大きなメリットの一つです。夜中に「スイッチが見つからない」という経験をしたことがある方は多いと思います。暗闇の中でスイッチを探す必要がなくなるため、安心して利用できます。

人感センサー付きの照明は、反応範囲と精度、転倒時間が重要になります。トイレに設置したい場合は特に「反応精度」に気を付けると良いと思います。

人感センサーは動きを感知して、点灯するシステムです。長時間点灯するわけではないため、便器に座って動きがないと自動で消灯してしまいます。5cmほどの小さな動作でも反応するものを選んでおくと、使いやすいかと思います。

センサーの反応精度が低い場合、夜中のトイレで突然真っ暗になってしまって驚いてしまうこともあります。またその際、反応精度が低いものは、再点灯をするために、手を大きく振ったり体を揺すったりする必要があるため、向いていないと言えます。

どうしても消灯が気になる方は、点灯時間も合わせてチェックすると安心です。

トイレ個室内のコントラストを上げる

空間・器具のコントラストの違いによる見え方の比較

(https://www.catalabo.org/catalog/detail/73835100000)TOTO株式会社 バリアフリーブック パブリックトイレ編 より抜粋

壁、床、便器、手すりなどの明度や色相、彩度のコントラストをつけた空間デザインにしておくと、視認性が高くなり安全です。

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手洗い場を車いす用にする(車いす用洗面台)

車いす用手洗い器のイメージ

TOTO バリアフリーブック 住まいの水まわり編より抜粋(https://www.catalabo.org/catalog/detail/73831790000)

手洗い器の鏡の位置

TOTO バリアフリーブック 住まいの水まわり編より抜粋(https://www.catalabo.org/catalog/detail/73831790000)

手洗い器の高さは、立位でも車いすでも使えるように、あふれ面を750mm程度に設定し、膝やつま先、車いすのフットサポートが当たらないように、洗面器の足元が広く取られているものを選択します。

鏡は、立位でも車いすでも上半身が映るように、鏡の下端を手洗い器上端にできるだけ近くなるように設定します。

タオル掛けは、手洗い後床に水だれしないように配慮し設置します。車いすの場合は、濡れた手で車いすを操作する必要がなく、車いすから手が届く高さ(床から1400mm程度)に設置します。

手洗い器の水栓は、使い勝手に合わせて、自動水栓や、シングル混合水栓を選定します。シングル混合水栓の場合は、湯水の境界にクリック感があり、切り替えがわかるものを選ぶと温度調整が簡単になります。

車いす用洗面台の施工事例

神奈川県横浜市 S様邸:トイレ+脱衣室(車いす用洗面台)バリアフリー工事【施工事例】

画像は車いす利用のためトイレを広くしたいとのお客様のご希望で、元あったトイレの個室と隣接する脱衣室の壁を壊し、一つの部屋にすることで、広さを確保した施工事例です。

トイレ個室内に置いた洗面器は車いす対応のものを使用しています。足元に空間があることで、足をぶつけることなく洗面器に接近できます。


施工事例

神奈川県横浜市 S様邸:トイレ+脱衣室(車いす用洗面台)バリアフリー工事
施工事例:神奈川県相模原市S様邸:トイレ+脱衣室

器具洗浄のためにシンクを設置する

シンクの設置

TOTO バリアフリーブック 住まいの水まわり編より抜粋(https://www.catalabo.org/catalog/detail/73831790000)

排泄に、カテーテルや蓄尿袋、自助具などを使用する場合は、トイレ内に洗浄用のシンクを設置します。

シンクには一時置きできるスペースがあると、効率的に作業ができます。車いすで使用する場合は洗面器と同様に、シンクの下のスペースを確保します。

水栓は、操作しやすいようシングル混合水栓とし、汚れが落ちやすく、冬でも洗浄しやすいように温水が使える仕様とすると安心です。水栓とシンクの距離は器具サイズを考慮して、洗いやすいように配置します。

シンクの位置は、排泄に使用した器具を、周囲を汚さずに後始末できるように、排泄位置から手が届く場所に配置します。この時、便器⇄車いすの移乗に邪魔にならない位置であることも考慮に入れます。

暖房設備を充実させる

トイレの暖房機能

TOTO バリアフリーブック 住まいの水まわり編より抜粋(https://www.catalabo.org/catalog/detail/73831790000)

暖かい部屋から寒い部屋への移動による急激な温度の変化によって、血圧が上下に大きく変動することをきっかけに起こる健康被害のことを「ヒートショック」と言います。

冬場は部屋の寒暖差が大きくなるため、暖房設備を設置しておくと安心です。

トイレの便器には、便座の部分が温かくなる機能や、室内暖房がついている機種もあります。必要に応じて選択してください。

可能であれば介助用のトイレと家族用のトイレを分けて作る

可能であれば、ご家族と同居されている場合は、介助用のトイレと家族用のトイレを分けて作っておくと、トイレ待ちなどの心配がなく、気兼ねなくトイレを使用できるようになります。

 

 


関連:高齢者向けのバリアフリーリフォームについては下記のリンクをご覧ください。

 

関連:車いす利用の方で他の場所のバリアフリーリフォームが気になる方は下記リンクをご覧ください。

 

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