「ベッドから車いすに移るだけなのに、とても大変…」
車いすで生活していると、そんな風に感じる方も多いのではないでしょうか。
在宅介護では、「移乗」と呼ばれる動作が毎日のように発生します。
ベッドから車いすへ。
車いすからトイレへ。
浴室への移動など。
日々の生活に欠かせない場面で、介助する側・される側の双方に大きな負担がかかっています。
特に抱え上げる介助は、腰痛や転倒などのリスクにつながることも少なくありません。
そうした負担やリスクを軽減する方法の一つに介護リフトです。
しかし、介護リフトには様々な種類があり、「どれを選べばいいのかわからない」と悩む方も多いのではないでしょうか。
今回は、介護リフトの基本的な考え方から、種類ごとの特徴、スリング選びのポイント、住宅との関係、お金の話まで、分かりやすく解説します。
「介助を少しでも楽にしたい」
「無理なく在宅介護を続けたい」
そんな方は、ぜひ参考にしてください。
参考リンク

外部リンク
介護リフトとは?負荷のかかる「移乗」をサポートする福祉用具

介護リフトとは、介護する人が介護される人を持ち上げて、車いすなどに「移乗」「移動」する動作をサポートしてくれる福祉用具です。
- ベッドから車いすへ移る
- 車いすからトイレへ移る
- 浴槽へ出入りする
など、日常生活の中で行う「移る動作」の負担を軽減してくれます。
特に車いすで生活している方や、立ち上がり・歩行が難しくなってきた方にとって、移乗は身体への負担が大きい動作です。
また、介助する側にとっても、身体を抱え上げる動作は腰や肩への負担が大きく、腰痛の原因になりやすいと言われています。
介護リフトは、機械の力を利用して身体を支えることで、介助する人・される人双方の負担を軽減することができます。
「リフト」と聞くと「大がかりな設備」「寝たきりの人が使うもの」というイメージが先行していますが、実際には、「少し立つ力が残っている方向け」「特定の場所のみで使用するもの」「工事不要で利用できるもの」など、様々な種類があります。
介護リフトは、単に移動を助ける機会ではなく、無理なく介護を続けるための環境づくりを支える福祉用具の一つです。
介助者に多い腰痛や転倒リスク

介護現場において「腰痛問題」は、切っても切り離せない問題です。
滋賀医大北原照代講師(労働衛生学)らの研究グループによる全国調査では、介助者の約8割に腰痛経験があるという報告もあり、プロの介助者であっても欠勤や離職につながるケースがある深刻な問題となっています。
腰痛になりやすい原因の一つが「抱え上げ介助」です。
ベッドから車いすへの移乗や、トイレ・浴室での介助では、中腰姿勢や身体をひねる動作が多くなり、腰へ大きな負担がかかります。
また、介助を受ける側にとっても、
- 身体を支え切れずにふらつく
- 介助中に転倒する
- 「落としてしまうのでは」という不安を感じる
などの安全面でのリスクがあります。
リフトを使用することで、身体を抱え上げる負担を気合でサポートできるため、介助する側・される側の身体的・精神的な負担の軽減につながります。
介護リフトの導入を検討するのはどんな時?

介護リフトの導入を兼用するタイミングは、介助する側・される側の負担が大きくなってきたタイミングです。
特に在宅介護では「なんとか抱えられているから大丈夫」と無理を続けてしまうケースも少なくありません。
子どもの成長や病気・加齢などで、身体状況は少しずつ変化していくため、「今は何とかできている」状態でも、将来的に介助量が増える可能性があります。
そのため、介護リフトは「最後の手段」ではなく、「無理なく介護を続けるための選択肢」として考えることが大切です。
- ベッドから車いすへの移乗が重たく感じる
- 立ち上がり時に支えきれず不安がある
- トイレや浴室での介助が大変になってきた
- 介助後に腰や肩が痛くなる
- 「転倒しそうで怖い」と感じる場面が増えた
こうした変化は、介護リフトの導入を考えるサインのひとつです。
最近では、立つ力が少し残っている方向けのスタンディングリフトや、工事不要で設置できるタイプなど、身体状況や住環境に合わせて選べる製品も増加しています。
「介護が限界になってから」ではなく、「少し大変になってきた」と感じたタイミングで、早めに情報収集を始めることが安心して介護を続けるためのポイントです。
介護リフトの種類と特徴

介護リフトには、大きく分けて6つの種類があります。
身体状況や介助方法、住環境によって使いやすいリフトは異なるため、それぞれの特徴を理解しながら、自分に合った機種を選ぶことが大切です。
- 移動範囲を広くカバーしたい
- 工事をせずに設置したい
- 浴室で使用したい
- 今残っている身体機能はなるべく活かしたい
など、目的によって適したリフトは変わってきます。
ここからは、以下の介護リフトを、それぞれの特徴やメリット・デメリット、どのような方に向いているかなどを分かりやすくご紹介します。
- 天井走行リフト
- 床走行リフト
- ベッド固定式リフト
- 据え置き式リフト(線レール・面レール型)
- 浴室用リフト
- スタンディングリフト
天井走行リフト

アルジョジャパンMaxi Sky 440(https://www.arjo.com/ja-jp/products/safe-patient-handling/ceiling-lift-solutions/ceiling-lifts/maxi-sky-440/)
天井走行リフトは、天井に設置したレールに沿って移動するタイプの介護リフトです。
天井走行リフトが向いている方は以下の通りです。
- 移乗回数が多い方
- 介助負担を大きく軽減したい方
- ベッドからトイレや浴室まで移動したい方
- 長期的に在宅介護を続ける予定の方
スリングを身体に装着し、天井から吊り下げることで、ベッドから車いす、トイレ、浴室などへの移乗をサポートします。
レールを複数の部屋につなげることで、広い範囲を移動できる点が大きな特徴です、
ベッド→車いす→トイレ→浴室、など一連の移動をスムーズに行いやすくなります。
また、床に支柱がないため、車いすや介助者の動線を邪魔しにくく、比較的スッキリとした空間を保ちやすいことメリットです。
一方で、天井へレールを固定するため、住宅の構造によっては補強工事が必要になる場合があります。
特に木錠住宅では、「天井の下地強度が足りるか」「どこにレールが通せるか」など、事前調査が重要になります。
また、設置工事が必要になるため、ほかのリフトと比較すると導入コストが高くなる傾向があります。
住環境や介助堂さんによって使いやすさが大きく変わるため、設置前には専門家へ相談しながら計画することが大切です。
詳しくはこちらの記事でも紹介しています。

床走行リフト

サンライズメディカル Sunlift Mini(https://sunrisemedical.jp/mobility-aids/sunlift/mobile-hoists/mini)
床走行リフトは、キャスター付きの本体を移動させながら使用する介護リフトです。
床走行リフトが向いている方は以下の通りです。
- 工事をせずに導入したい方
- 賃貸など、住宅改修が難しい方
- 複数の場所で使用したい方
- 比較的広いスペースを確保できる方
- リフト本体を移動させる経路に段差がない住宅の方
スリングを身体に装着し、本体のアーム部分で身体を吊り上げることで、ベッドから車いす、トイレなどへの移乗をサポートします。
天井工事が不要なため、比較的導入しやすいことが大きな特徴です。
住宅を大きく改修する必要がないため、
- 賃貸住宅
- まずは介護リフトを試してみたい場合
- 将来的に住環境が変わる可能性がある場合
などにも導入しやすいリフトです。
また、必要な場所へ移動して使えるため、1台で複数の場所に対応しやすいメリットもあります、
一方で本体自体が大きいため、使用するためにはある程度のスペースが必要になります。
また、キャスターを転がして移動させるため、段差がある住宅の場合は使いにくい場合があります。
- ベッド周り
- 車いす周辺
- トイレ
- 脱衣室
など、使用場面で本体を動かすスペースや回転スペースを確保できるかを確認しておくことが重要です。
天井走行リフトと比較すると、毎回本体を移動させる必要があるため、介助者の操作負担がやや大きく可能性があります。
また、アームの高さによっては、スリングで身体を吊り上げた際に十分な高さを確保できない場合があります。
例えば、
- ベッドから十分に身体を持ち上げられない
- 車いすのアームサポートを越えられない
- 移乗時に脚が床に接触してしまう
など、スリングとの相性によっては、使いにくさにつながることもあります。
そのため、導入前には、使用予定のスリングとリフト本体のアームの高さがあっているかを、事前によく確認しておくことが大切です。
ベッド固定式リフト

株式会社モリトー つるべーシリーズ Bセット(https://www.moritoh.co.jp/products/tsurube-b/)
ベッド固定式リフトは、ベッドにリフト本体を取り付けて使用するタイプの介護リフトです。
ベッド固定式リフトが向いている方は以下の通りです。
- ベッド周辺での介助負担を減らしたい方
- 比較的小規模な移乗をサポートしたい方
- 工事せずに導入したい方
ベッド固定式リフトは、ベッド周辺での移乗をサポートすることを目的としており、主に
- ベッドから車いすへの移乗
- ベッド上の体位変換
- ベッド近くのポータブルトイレへの移乗
などで活用されます。
床走行リフトのように大きな本体を移動させる必要がなく、比較的コンパクトに設置できることが特長です。
また、ベッドに取り付けるタイプが多く、揺れが少なく安定感のある操作が可能です。
一方で、ベッドに固定して使用する構造のため、移動範囲はベッド周辺に限られます。そのため、
- トイレまで移動したい
- 浴室まで移動したい
- 複数の部屋で使用したい
といった場合には、対応が難しいことがあります。
また、ベッドの種類によっては設置できないケースもあるため、事前に対応可能なベッドか確認しておくことが重要です。
ベッド周りのスペースが狭い場合には、車いすを近づけにくくなり、移乗がしづらくすることもあります。
導入時には、ベッド周りに十分なスペースがあるかどうかを確認し、ベッド・車いす・介助者の位置関係を含めた「介助動線」を意識しながら検討することが大切です。
据え置き式リフト(線レール・面レール型)

株式会社シ―ホネンス
フリースパン(https://seahonence.co.jp/hp/lift/FreeSpan.html
据え置き式リフト(線レール・面レール型)は、組み立て式の自立するレールを設置し、レールに沿って移動するタイプの介護リフトです。
据え置き式リフトが向いている方は以下の通りです。
- 天井工事をせずにレール式リフトを導入したい方
- 賃貸住宅などで大規模な住宅改修が難しい方
- 床操作リフトより操作負担を減らしたい方
天井へ直接工事を行わずに設置できるため、天井走行リフトと床走行リフトの中間的な特徴を持っています。
スリングを身体に装着し、レールに取り付けられたリフト本体で身体を吊り上げながら移乗を行います。
床走行リフトのように大きな本体を押して移動させる必要がない他、段差の影響も受けにくいため、介助者の身体の負担も軽く、導入しやすいことがポイントです。
据え置き式リフトには「線レール型」と「面レール型」があります。
線レール型は、一直線に移動するタイプで、ベッドから車いす、ベッドからポータブルトイレ、など決まった方向への移乗に向いています。
一方、面レール型は縦横に柔軟に移動できる構造になっており、より広い範囲での移動に対応しやすいことが特長です。
- ベッド周辺を広く移動したい
- 車いすの位置を柔軟に変えたい
- 介助スペースに制限がある
といったケースでは、面レール型が活躍することもあります。
据え置き式リフトは支柱やレールを設置するスペースがあるため、部屋の広さや家具配置によっては、圧迫感が出る場合があります。
また、設置位置によっては、
- 車いす動線
- 介助者の立ち位置
- ドアの開閉
などに影響することもあるため、事前に介助動線を確認しながら計画することが大切です。特に面レール型は設置スペースが大きくなる傾向があります。設置前にはあらかじめ、専門家に確認することをおすすめします。
浴室用リフト

株式会社アマノ エイブルバス・イー(https://www.amano-grp.co.jp/products/lift-nyuyoku/ablebath-e/)
浴室用リフトは、浴槽への出入りや入浴時の移乗をサポートするための介護リフトです。
浴室用リフトが向いている方は以下の通りです。
- 浴槽へのまたぎ動作が難しく、浴槽に浸かることが難しい方
- 抱え上げでの入浴介助に負担を感じている方
- 安全に入浴介助を行いたい方
- 今後も自宅で入浴を続けたい方
浴室は、「床が滑りやすい」「スペースが狭い」「身体を支えながら姿勢を変える必要がある」など、転倒リスクや介助負担が大きくなりやすい環境でもあります。
浴室用リフトには様々な種類があり、
- 浴槽のフチに取り付けるタイプ
- 座面が上下するタイプ
- 天井走行リフトと連動するタイプ
など、浴室環境や身体状況、普段の介護動作の状況によって適した機種が異なります。
一方で、浴室は住宅の中でも特にスペースが限られやすく、天井の高さも高くないため、導入前には十分な確認が必要です。
- 介助をするスペースを含めた浴室の広さ
- 浴槽の形状
- 脱衣室との動線
- 車いすとの位置関係
- スリングを装着して身体を吊り上げた時に、足や頭が当たらないか
- スリングを装着して身体を吊り上げた時に、浴槽のフチをまたげるだけの高さが確保できるか
また、機種によっては、設置工事や住宅改修が必要になる場合もあります。
浴室用リフトを検討する際は、「浴槽へ入れるか」だけでなく
- どこで服を脱ぐのか
- どこで移乗をするのか
- 誰が介助するのか
まで含めて、入浴全体の流れを考えながら選ぶことが大切です。
車いす利用者の中には、寝室で服を脱いで、そのままリフトを使って浴室まで移動するケースもあります。
導入前に、普段の生活の流れをよく確認しておきましょう。
スタンディングリフト

アビリティーズケアネット スタンディングリフト イージーアップ(https://www.abilities.jp/techno-aid/fukusiyougu/idouyoulift/floor-lift/702920)
スタンディングリフトは、「立つ力」を活かしながら移乗をサポートするタイプの介護リフトです。
身体を完全に吊り上げるタイプとは異なり、利用者自身の残っている身体機能を活かしながら、立ち上がりや移乗を補助することが特長です。
スタンディングリフトが向いている方は以下の通りです。
- 立つ姿勢は維持できるが、自力で立ち上がる動作は困難な方
- 立ち上がり時にふらつきがある方
- 介助量を少し減らしたい方
- 今残っている身体機能はなるべく活かしたい方
主に以下の場面で活用されます。
- ベッドから車いすへの移乗
- 車いすからトイレへの移乗
- 立ち上がり補助
- 外用の車いすと内用の車いすの乗り換え
利用者は足を床に付けた状態でリフトを使用するため、立位姿勢を取りやすく、残存機能を活かした以上がしやすいことがメリットです。
また、全身を吊り上げるタイプと比較すると、以下の特徴もあります。
- 移乗時間が短い
- スリング装着が比較的簡単(スリングがない機種もあり)
- コンパクトな機種が多い
一方で、まったく立位が取れない方や、身体を支える力がほとんど残っていない方には使用が難しい場合があります。
- 足にしっかり体重にかけられるか
- 立位姿勢を保てるか
- 手でバーを握れるか
なども、使用可能かどうかの重要なポイントです。身体状況によって適応が大きく変わるため、導入前には、よく確認しておくことが重要です。
さらに、スタンディングリフトは「立つ力を活かす」リフトであるため、無理に使用すると転倒リスクにつながる場合があります。
安全に使用するためには、本人の身体状況にあった機種選びと、適切な介助方法を確認しておくことが大切です。
実は「スリング」選びがとても重要

介護リフトを安全に使うためには、本体やレールと同じくらい「スリング」が重要です。
スリングは利用者の身体を直接支える大切な部分であり、サイズや形状を誤ると「高さが足りない」「身体がずれてしまう」といったトラブルにつながります。
例えば、浴槽をまたぐ時には、天井の高さと浴槽のフチの高さ、スリングを使って実際に吊り上げた時の高さの確認が必要です。
この確認を怠ると、昇降の高さが不足し、浴槽のフチに脚やお尻が当たってしまい、浴槽のフチを越えられない場合があります。
また、レールの位置とスリングの姿勢によっては、手や足、頭が壁などにぶつかる危険もあるため、注意が必要です。
介助者側にとっても、リフト本体やスリングの位置関係によって、スペースが十分に確保できず、介助をしにくくなる場合があります。
気になる予算。介護保険や補助金は使える?

介護リフトは高額なイメージを持たれることも多く、「導入したいけれど、費用が心配…」と感じる方も多いのではないでしょうか。
しかし、介護リフトの種類によっては、介護保険の福祉用具貸与(レンタル)の対象になる場合があります。
原則として要介護2以上と認定された方が対象です。1~3割負担で月々レンタルが可能です。
介護保険では、以下の「移動用リフト(スリング等を除く)」が貸与対象になっています。
- 床走行式リフト
- 据え置き式リフト
工事を伴う移動用リフトを設置する天井走行リフトなどは、介護保険の対象外のため、注意が必要です。
介護保険の利用に関しては、担当のケアマネージャーや福祉用具専門相談員へ相談しながら、申請をしましょう。
自治体によっては、
- 障害福祉制度
- 住宅改修補助
- 日常生活用具丘隅
- 独自助成制度
などを利用できる場合があります。
特に天井走行リフトのように、住宅改修が必要なケースでは、自治体制度や障害福祉制度が心強い味方となります。
制度は地域によって内容が異なり利用条件も変わるため、
- ケアマネージャー
- 地域包括支援センター
- 福祉用具専門相談員
- 福祉用具に詳しい工務店
- 各自治体の担当窓口
などへ、早めに相談しておくと安心です。
また、介護リフトの主な費用については以下の通りになります。
- 本体価格
- スリング費用
- 設置工事費
- 天井などの下地補強を含めた住宅改修
- メンテナンス費
導入後に「思ったよりも費用がかかった」とならないよう、事前に総額を確認しながら計画を進めることが大切です。
参考リンク

外部リンク
お問い合わせはこちら↓
バリアフリー化の悩み介護リフォームの悩み、なんでもお声掛けくださいませ!

